手で持たれるカプセルと白い錠剤
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食中毒の潜伏期間と原因について

食中毒とは食物を通して起こる外的な要因に起因する疾患で、大部分は微生物によるものです。
微生物、と一口に言っても細菌、真菌、ウイルス、寄生虫など多岐にわたりますが、それらを直接体内に取り入れることによっても食中毒は起こりますし、それらの微生物が分泌した毒性物質を取り入れることでも食中毒は生じます。
それを見分ける上で1日~7日間、という基準が有用になってきます。
潜伏期間が短く、食べてから数時間で発症する食中毒は大きく分けて2種類あります。

一つは毒素型、と呼ばれるものです。
黄色ブドウ球菌などが原因であることが多く、手作業で製造されたおにぎりなどに付着し、それが産生した毒素によって食中毒が起きます。
毒素がターゲットとなる組織に達した時点で毒性が発揮されるため、比較的発症が早いのが特徴です。
毒素は加熱によって分解されるものが多いため、未加熱の食品に多いです。

もう一つはアニサキスなどの寄生虫による食中毒です。
毒素よりも早く、ターゲットとなる組織に達すると食中毒を起こします。
運が悪いと1匹でも胃痛などの消化器の不調を起こすことが知られていますが、毒素型同様かそれ以上に潜伏期間が短いという特徴があります。

一方、発症までに時間を要するのは細菌やウイルスが増殖しなければ発症しないタイプの食中毒です。
多くの場合は、発症するほど体内で菌が増殖するために時間を要するために、摂取から発症までに1日~7日間の時間を要することもあります。
最もメジャーなのは腸管出血性大腸菌やノロウイルスの感染です。
菌やウイルスの感染や増殖の程度によりますが、少しの菌を取るだけで数日後に発症することもあります。

こういった菌は台所にある調理器具類を介して、あるいは手作業の際に媒介されて集団感染を起こします。
店舗や学校給食で大々的な食中毒が起こるのはこのタイプが多いです。
このタイプの食中毒は未加熱の食品でも十分に起こりえますが、中途半端な加熱では死なない菌やウイルスが原因の場合、台所で加熱したつもりで無意識に原因食品から除外してしまうため原因同定が困難になることもしばしばです。

食中毒によっては命の危険を脅かすこともある

食中毒によって命が脅かされることもあります。食中毒の影響は消化管に最も強く出ます。最もメジャーなものは血便です。
これらの背景には消化管の粘膜が菌や毒素によって傷害されているということがあり、そのために脱水や貧血などといった体液の損失が起きます。

他にも、消化管の粘膜が傷害されることで吸収障害を来たし、栄養失調などの異常を示すこともあります。
食中毒はそのターゲットを消化管に限局したもののみではなく、微生物によっては様々な臓器に影響を及ぼすものがあります。
傷つけた粘膜から露出した間質組織や脈管から体内へと侵入し、血中に菌が大量に紛れ込んだ状態になります。
いわゆる菌血症、そして進行すると敗血症を来たします。
ここまでくると肝臓、脾臓、肺などの臓器に大打撃が加えられるだけでなく、血が固まりやすくなることによって脳梗塞などの重大な閉塞疾患のリスクが跳ね上がります。

食中毒は命を脅かす可能性がある恐ろしい病態です。
近年は海水温の上昇を背景とした環境変化によって、海産物を中心に食中毒のリスクは跳ね上がっています。
かといって、カキなどの二枚貝や魚に注意すればいいというものではありません。
食中毒の原因となる菌類は我々の生活環境に普通に存在しているものがほとんどです。

調理場や食事空間がそういった菌類と交差しなかったこれまでの幸運により、たまたま食べずに済んで食中毒にならなかった、というのが正しいでしょう。
食中毒に自分がかかってしまえば、他人にうつしてしまうことも考えられます。
そのために罹らない、他人にも罹らせないような万全の注意と対策を講じてもやりすぎ、ということはありません。
毎日口にするものこそ、慎重に取り扱いましょう。

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